Hello Everyone, 前回は世界で進む教育改革の中で、どういった教育の方向性が求められているのかということについて、経済協力開発機構(OECD)が実施する学習到達度調査(PISA)のサンプル問題から読み解いてお伝えしました。 >>今、日本のみならず世界は大きな教育改革の真っ只中にいる<< 今回は日本の「学習指導要領」から、今、日本の子どもたちに求められている能力とそれを身につけるための学習方法を見ていきます。 坪谷ニュウエル郁子 学校法人 東京インターナショナルスクール 理事長 NPO東京インターナショナルプログレッシブスクール 理事長 株式会社 東京インターナショナルスクールグループ 代表取締役 文部科学省 国際政策特任フェロー、IB教育推進コンソーシアム関係者協議会 構成員 国際バカロレア機構 国際バカロレア日本大使 など 1.学習指導要領から見る日本の教育方針の変遷 皆さんも「学習指導要領」という言葉をお聞きになったことがあると思います。 学習指導要領は、文部科学省が告示する初等、中等教育(小学校から高校まで)における教育課程の基準です。 例えば戦後初めての現代化カリキュラムと言われた学習指導要領は1957年(昭和32年)に人工衛星が打ち上げられたことによるスプートニクショックから「教育内容の現代化」が起こり1971年(昭和46年)には内容の多い濃密なカリキュラムが組まれました。 しかしその反面、授業が速すぎるため消化できないという問題点などが上がってきました。 教科書を最後まで終えることができないという問題です。 その反省から教科の学習内容を大きく削減し、生活科や道徳教育の充実などで心豊かな人間の育成を目標にした新学力観、いわゆる「ゆとり教育」(1980年、1992年)へのシフトがその後に始まりました。 振り子の針が逆に大きく動いたのです。 ただし、それでは基礎、基本が確実に身につきません。 それでも全人教育は継続したいと「総合的な学習の時間」により生きる力を育成する教育(2002年、平成14年)を推奨しつつ、ゆとりでも詰め込みでもなく、知識、道徳、体力のバランスのとれた力(脱ゆとり教育とも呼ばれる)の育成(2011年、平成23年)へという変換を経てきました。 そしてついに、