Hello Everyone,
先日2022年2月27日(日)に、教育セミナー第5回「新年度の始まりに子どもが抱えやすい不安へのサポート方法 ~現役保育士が経験した対応事例を交えて解説~」を開催しました。
今回は、講師として東京インターナショナルスクール 中目黒キンダーガーテンマネージャー宮林綾が登壇し、子育て真っ最中のパパでもある弊社営業部門の坪谷良との対談形式でお送りしました。
セミナーの動画をYoutubeで公開しています!
当日に参加できなかった方はもちろん、ご参加いただいた方も振り返りにぜひご覧ください。
>> セミナーの動画(約60分) <<
1.【新年少・新小学1年生】
(坪谷)
もうすぐ新学期、新しい学年が始まるということで、保護者の皆さんも期待に胸を膨らませたり、一方で不安に感じたりすることがあると思います。
今回は、保護者の皆さんからよくいただく質問を取り上げていきます。
はじめに、新しく年少になる・初めて幼稚園に通い始めるお子さんでは、どんなところを気にしておくのが良いですか?
(宮林)
保護者から離れて幼稚園生活を送る=母子分離の準備があります。
◎いきなり一時預かりサービスに預ける必要はありません。
◎20分~30分程度、お父さんお母さんから離れて、おじいちゃんおばあちゃんの家で預かってもらうくらいでいいと思います。
◎「離れていても必ずお父さんお母さんが迎えに来てくれる」という経験を積んでおくことが大切です。
◎「いい子で待てたね」と褒めて自信をつけてあげることも大切です。
(坪谷)
母子分離のトレーニングをしても、入園式で保護者から離れられなくて泣いてしまう子はどうしてもいますよね?
(宮林)
いますね。
子どもたちは保護者の姿が見えている間は、「もうひと泣きすれば迎えに来てくれるんじゃないか」と期待してしまいます。
でも、ひとたび保護者の姿が見えなくなると、子どもたちは気持ちの切り替えをして、好きなおもちゃのところに行ったり、誰か親しくしてくれそうな人を探したりし始めます。
◎お父さんお母さんはつらいと思いますが、スッと引いて姿を見えなくしてあげることが大切です。お父さんお母さんのほうから離れてあげる気持ちが大切です。
◎登園の際に泣いてしまうのは永遠に続くものではありません。もし長く続くようなことがあれば園から保護者様に様子を報告しますし、気になることがあれば園に相談してください。
(坪谷)
今度は、幼稚園を卒園して、新しく小学校に入学するお子さんは、どんなことに気を付けておくのがいいですか?
新しい場所に通い始めたり、お友だちと別々の学校に行くことになったり、保護者の不安も多いと思います。
(宮林)
子どもが一人で新しい環境へ入っていく不安への準備ですね。
年少さんになるときとは違って、小学校へ入るときは、ある程度自分のことは自分でできるようになっています。
また、不安な気持ちを泣くことだけではなく、別の現し方で出してくるようになってきます。
◎そういった変化に気づけるように、一日のルーティンの中でお子さんと話す機会を設けておくのが大切です。
◎その中で、お子さんが「困ったときに誰に相談したらいいかがわからない」という場合は、「どういうときにはどうしたらいいか」という解決方法を具体的にしておくことも大切です。
(坪谷)
小学校での「どういう時にどうしたらいいか」を決めておくにあたっては、誰に相談できるのでしょうか?
(宮林)
◎通っている幼稚園の先生に相談してみましょう。幼稚園を通じて進学先の小学校の先生に伝えてもらうことができます。
◎小学校に直接連絡していただくこともできます。小学校の先生も「どんな子が来るのか」は知りたいと思っているものです。
2.【新年中】
(坪谷)
次に、新しく年中になるお子さんです。
うちの子で実際にあったことで、学年が変わって先生が変わることに子どもが不安がってしまったのですが、なにか準備できることはありますか?
(宮林)
子どもが成長していく過程で、いろいろな性格を持った人やお友だちと関わっていくことはとても大切なことです。
新しい環境はいろんな人間関係を作っていくチャンスです。
◎お子さまが新しい先生に対して、何か楽しい面を期待できるような言葉をかけるのがいいと思います。
◎そして実際に新しい先生との生活が始まってからは「先生どうだった?」と話を聞いてあげましょう。
◎誰かとの関係性に躓くときも、親が先回りして解決してあげるのではなくて、何に困っているのかを一緒に解決方法を探すサポートをしてあげましょう。
(坪谷)
年中さんでほかにどんなご相談がありますか?
(宮林)
「このお友だちとは離してほしい」という相談が来ることがあります。
「●●ちゃんはイヤだ」とお友達の名前が頻繁に出てくることがあるのですが、これに対してよくお伝えすることがあります。
◎よく名前が出てくるということは、関わる頻度が高いということです。実は好きで寄っていっている可能性も考えられます。
◎先回りしてその子と離すのではなくて、「どうしたらその子と仲良くなれるのか」を考えらるようにサポートしてあげられればと思います。
(坪谷)
年中くらいになってくると「手が出てしまう」という話も出てきますよね?
(宮林)
一人遊びから、お友だちとのかかわりへと遊びが発達してくる時期ですね。
言葉の発達がまだ追いついていなくて、ついつい手が出てしまうというのは日常よく見られる場面です。
先生の指示を聞かないお友だちがいたので注意したのに、言うことを聞かないから叩いちゃった、ということもあります。「良かれと思ってやったこと」の場合もありますね。
◎もしも手が出てしまった場合には、子どもの記憶はとても短いので、叩いたその場で話を聞きます。叩いた子と叩かれた子を一緒に呼んで話をします。叩いた側にも、叩かれた側にも言い分があるということを理解しておきましょう。
◎手が出てしまうこと自体はある程度仕方がないので、そのあとどう対処すべきかを一緒に考えます。
(坪谷)
発達過程で子どもがどんな状態にあるのか、どの程度までは当たり前の範囲なのか、ということを考えて対処する必要がありますね。
(坪谷)
子どもの手が出た、出なかったというお話においては、園と親御さんとの関係や、親御さん同士の関係も大事なポイントになってきますよね?
(宮林)
園としては叩いてしまったお子さまの保護者にも、叩かれたお子さまの保護者にも報告としてお話します。
そしてご家庭でお子さんの言い分を聞いてみてくださいとお伝えします。
◎状況を一番よくわかっているのは子どもたちです。ただ、子どもの記憶は短いので、状況を一番正確に説明できるのは現場にいた先生やスタッフということになります。
◎時間が経つと子どもの記憶があいまいになって、言うことが変わってくることがあります。子どもが言うことが変わってきたり、園からの報告と違うことを言っていたりする場合は、園に相談してほしいです。
◎園を通して、それぞれの保護者にお互いの思いを伝えることもできます。
3.【新年長】
(坪谷)
年長になるとお友だちどうしの関係性も増えてきて、お友だちにイジワルをされたというトラブルも増えてくると思いますが、どういう対応ができるでしょうか?
(宮林)
子どもたちも人間関係を広げていきたいという思いから「この子と遊んでみたい」という気持ちが出てきます。
その分、遊ぶ機会が減るお友だちが出てくるのですが、表現が未発達なせいで「この子とはもう遊ばない」という言い方になってしまう場面も出てきます。
◎まずは子どもの傷ついてしまった気持ちに寄り添って「つらかったね」「わかるよ」と言ってあげることが大切です。
◎子どもには「気持ちを切り替える」ということを教えてあげましょう。気持ちの切り替え方がわからない場合は園に相談してください。
◎保護者としても気持ちが傷ついてしまうと思います。お子さんの園での様子が心配になると思います。その場合は園に誰とよく遊んでいるか、お友だちとどんな関係にあるのかを聞いていただきたいと思います。
4.【最後に】
(坪谷)
子どもが社会生活をしていくうえで、複雑な人間関係の中に必ず起こりうることを経験して、対処方法を身につけていくことが大切なのですね。
(宮林)
そうですね。
今、身につけておいて、対処方法がわかっておけば、大きくなってもその方法を使っていけるので、今のうちにたくさんたくさんチャレンジして、練習して、自信をつけてあげられればと思います。
(坪谷)
子どもなりの初めての試練に出会って、一から学んでいかなければならない。
試練を排除するのではなく、今後必ず起こりうるものとして受け止めて、それに対する対処法を一つずつ身につけていくことが必要なのですね。
子どもを守るだけでなく、子どもが自分自身の力で生きていけるように導いていくことが親や大人たちの役目ということですね。
(坪谷)
今日は親の立場としても大変参考になりました。ありがとうございました。
(宮林)
ありがとうございました。
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当日にご参加でなかった方はもちろん、ご参加いただいた方も振り返りにぜひご覧ください。
>> セミナーの動画(約60分) <<
次回の教育セミナーはまた新たな講師とテーマで、2022年6月の開催を予定しています。
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お楽しみに!