【読む力を伸ばす】フォニックスってなぁに?(1) - 東京インターナショナルスクール キンダーガーテン/アフタースクール

2021.06.23

【読む力を伸ばす】フォニックスってなぁに?(1)

Hello Everyone,

昨年度(2020年度)から、英語は日本の小学5・6年生の必須科目となりました。
そして、今年度(2021年度)からは中学校の学習指導要領が新しくなりました。
それを受けて、学校では英語を含む多くの科目で「小中連携=小学校と中学校への学びのつながり」に注目してカリキュラムを改定しているようです。
このような背景から、中学生になる前に身につけておきたい英語のスキルや学習法について知る機会が増えたように思います。

そこで本日は「フォニックス」と呼ばれる英語学習法をご紹介します。

 

 

1.フォニックスという英語学習法

まずフォニックスという学習法は、

・誰が?
・どのタイミングで?
・どのように学ぶ?

学習法なのでしょうか。

一般的には、
・英語圏に住む(英語を母語とする)
・4歳から小学校1・2年生が
・英語の綴りと発音の規則性を身につける目的で
取り組む学習法です。

そして近年この学習法が日本でも広まり、書籍、アプリ、スクールなど様々な形態でフォニックスという学習法を目にする機会が多くなりました。

 

 

2.アルファベットには二つの顔がある?

アルファベットには「読み方」と「音(発音)」の二つの顔があります。
それはどういうことでしょうか。
以下の例で見てみましょう。

日本では、多くの子どもたちが「♩A, B, C, D, E, F, G 〜♩」とABCの歌に合わせて、アルファベットの読み方、そして表や絵カードを見ながら、書き方を覚えていきます。

日本語で「あ、い、う、え、お〜」とひらがなの読み方と書き方を覚えると、例えば「いえ」という文字を見たら、習った読み方の通り、そのまま「いえ」と発音します。
そしてそれが「家」であることを理解することができます。

では、英語の「house」はどうでしょうか。
「house」という文字を見て、ABCの歌とアルファベットの表や絵カードで習った「エイチ、オウ、ユー、エス、イー」とそのまま発音すれば「house=家」という意味のある言葉として伝わるでしょうか。
答えは、NOですね。
英語は日本語のように、カナ(アルファベット)の読み方と書き方を学んだだけでは、単語を見て発音したり、また耳で聞いた言葉を正確に文字で表したりすることができない言語なのです。

つまり、アルファベットはカナの「読み方」(以下では「呼び方」とします)と単語の「音(発音)」が異なっている言語なのです。

例えば「A, B, C, D, E, F, G 〜」を「エイ、ビー、シー、ディー、イー、エフ、ジー、〜」という「呼び方」ではなく、英語を発音するためためには「アー、ブー、ク、ドウ、エ、フ、グ、~」に近い音で覚える必要があるのです。

 

3.アルファベットは組み合わせで音が変身?

この「A, B, C, D, E, F, G 〜」を音で覚える時は「アー、ブー、ク、ドウ、エ、フ、グ、~」になる、という英語特有の文字と音の規則性を習得することがフォニックスの基本的な考え方です。
しかし、例えば、「C」と「E」はそれぞれ「ク」と「エ」以外の音で発音されることもあるのです。
それはどういった時に起こるのでしょうか。

下の表で「C」の例を見てみましょう。

同じCから始まる言葉なのですが、英単語になった時にはアルファベットの組み合わさり方によって、発音が「ク」と「ス」の2つのいずれかに変化します。
下の表に挙げた例だけでも、英語のCは単語として発音する際は「呼び名」=「シー」と発音しないだけではなく、クの音で発音する時と、スの音で発音する時があることがわかります。

cat ャット クの音
city ティー スの音
cut ット クの音
center ンター スの音
cotton ットン クの音

このように、「フォニックス」とは、英語の文字と音の規則性を学ぶ学習なのです。

 

さて、ここで、言葉を自由に話し始める、5・6歳の子どもたちの気持ちになってみましょう。

幼稚園や家庭で、ABCソングで「a」エイ、「c」シー、〜〜〜〜「t」ティーという文字の呼び方と文字の形を覚えた状態だとします。

アルファベットだけを覚えている5・6歳の学習者は、「cat」をどのように読むでしょうか。

おそらく、「シエーティー」のような発音で読もうと試みるのではないでしょうか。

逆に、「キャット」を耳で聞いて、ABCのカナの「呼び方」だけを知っている状態で、文字で書こうとすると、多くの子供たちが「k」から書き始めます。
さらに、「カット」(切る)を文字で書こうとすると、「k」から書き始めるのではないでしょうか。

つまり、英語を学習する過程で「K」を「ケイ」、「U」を「ユー」、「T」を「ティー」という呼び名で覚えた子どもたちが、カットと聞いただけでcutと書けるように、そしてcutという単語を見たら「カット」と読むことができるようになるための学習法がフォニックスなのです。

 

4.フォニックスに取り組むおすすめの時期は?

フォニックスに取り組むのは下記のタイミングが多いようです。
これらのタイミングに、音でのコミュニケーション(聞く、話す)と、文字でのコミュニケーション(読む、書く)をバランスよく身につけ、使いこなせるようにしてゆきます。

そのタイミングとは例えば、
◎子どもたちが自宅以外の場所で、そして、家族以外の人たちとコミュニケーションを取りはじめる頃。
◎話し言葉だけでなく、読む、書くといったコミュニケーションを行うようになる幼稚園から小学校入学の頃。

日本語の場合に、「ライオン」を意味(イメージ)と音で先に覚えた幼児が、小学生になって「ライヨン」と、または「たいよう」を「たいよお」と書くことがあるのを国語の授業で見かけることと同じイメージかもしれません。
そしてこの頃にそういった誤りを経ながら、正しい音と意味の結びつきを覚えていきます。
日本で小学校に入学するタイミングでカナを覚えるのと同じように、英語圏でも意味と発音、発音と文字、文字と意味の乖離を起こさないよう、同じくらいの年齢から「フォニックス」という学習法に取り組んでいるのですね。

 

当スクールでは、キンダーガーデン、アフタースクール、そしてLTEコースでもカリキュラムの一部にフォニックスを取り入れています。

次回は、日本で英語を学習する子どもたちや当スクールの子どもたちのフォニックスの取り組みをご紹介します。