教育セミナー第8回「子どもの未来を創る保護者の考え方」動画配信開始/質問回答 - 東京インターナショナルスクール キンダーガーテン/アフタースクール

2023.03.29

教育セミナー第8回「子どもの未来を創る保護者の考え方」動画配信開始/質問回答

Hello Everyone,

先日2023年2月19日(日)に、教育セミナー第8回「子どもの未来を創る保護者の考え方」を開催しました。

今回は山梨学院小学校長/山梨学院大学・短期大学兼任講師の瀬端淳一郎氏のご登壇で開催しました。

20年前の山梨学院小学校開校時からスタートアップ教員として携わり、校長を務める現在まで豊富な経験をお持ちです。
今回のセミナーでは、これまでに現場の第一線で見てきた教育の変化とそこから見えてくる未来の教育についての内容です。

未来を生きていく子どもたちを伸ばす保護者の考え方、一方で阻害してしまう保護者の考え方をそれぞれ5つのポイントに整理して、お伝えしました。

このブログ記事では講演中に寄せられたご質問と瀬端淳一郎校長からの回答をご紹介します。
今回はご質問と言うよりもむしろ「相談」として寄せられたものが多くありました。
セミナー中にお答えできなかったものへのご回答に加えアンケートにご記入いただいたもの、またセミナー中にお答えしたものも、改めて回答いただき掲載しましたので、ぜひご覧ください。

セミナーの動画も公開しています。下記のリンクから全編をご覧いただけます。
当日に参加でなかった方はもちろん、ご参加いただいた方も振り返りにどうぞご覧ください。
>> セミナーの動画(約53分) <<

 

 

1.①子どもの未来

現在、感染症の影響なども含めて、世の中では様々な変化が起きています。
また、これからの時代は、人生100年時代に突入し、子どもたちは長生きをする可能性が高く、親の育て方や社会での独り立ちの仕方などに課題が多くあると指摘されています。
さらに、今後は多様性を受け入れる世界に向かっており、どこの国の人であるという概念よりも地球人であるという感覚が求められる時代になると予想されています。

 

2.②未来の資質・能力

将来に備えて子どもたちに身につけてもらうべき能力とはどういったものでしょうか。
時代の変化に伴い、学力観は変化してきています。
現代の子どもたちのためには、将来直面する可能性がある困難に対処するために、自己肯定感や自分の居場所を見つける力を育成することが重要です。
教育においては一律のものを与えるのではなく、これらのような力を大切にする教育を提供する必要があります。

 

3.③具体的な教育の考え方

山梨学院小学校の例になりますが、子どもたちに必要な力として「自律する力、考える力、表現する力、つながる力」を挙げています。
特に自律する力を育むには、子どもたちに自分でできることをやらせてあげることが大切です。
自分で考える力を養い、子どもたちが表現する方法も多様であることを周りの大人たちが理解する必要があります。

山梨学院小学校では国際バカロレア教育を導入し、世界標準のカリキュラムを採用しています。
文化交流や言語教育などインクルーシブな教育を重視しており、日本語以外の言語も教えています。
また、理数科学教育にも力を入れており、グローバル感覚を育成するために、これらの要素を融合させた教育を実践しています。
算数の授業を例にとると、プロジェクト学習の形を採用することによって、子どもたちが思考を深められるようにしています。
たとえば、体積の勉強をする際に、ロボット作りを題材にします。
ロボットの各パーツの容積の合計が決められた容積になる組み合わを考えると、結果的に一人一人全く異なるロボットを完成させます。

プロジェクト学習は、子どもたちの資質や能力を高めるために大切な教育方法であると考えています。
そして、そういった学びの場面に立ち会う教師は、学びのコディネーターであり、子どもたちが対話と体験ができる環境づくりをする役割です。

 

4.④保護者の考え方

未来で子どもたちに必要になる能力をどのように教育していくのか。
それを考えるにあたってまずは、自分が子どもを見るときの見方を保護者自身が自己チェックするといいでしょう。
主なチェック項目は、「子どもの長所と短所を見極めること」「周りの人の意見に耳を傾けること」「必要なら叱ることができるかどうか」です。

子どもの人格形成は環境によって影響されます。
子どもの自我は3歳から4歳で芽生え、周囲の社会状況や親の行動に影響を受けます。
例えば、親が喧嘩をすると、子どもは不安そうな顔をしたり、話すのをやめたりすることがあります。
また、小学校で子どもたちがする虚偽やごまかしの話は、子どもが親から見られているとわかっているということを示しています。
このような環境の影響は子どもの人格を形成する上で重要ですから、保護者が子どもにどのような接し方をしているのかを自己チェックすることは大切でしょう。

 

5.④-a)伸ばす考え方

子どもの興味関心に合わせて一緒に付き合う時間が大切であること、叱り方や褒め方は子どもの気持ちや背景を理解して適切に行うことが大事です。
保護者自身がそれらの場面でどのようにふるまっているかを自己チェックをすることで、適切な褒め方や叱り方ができるようになると思います。
また、親御さんが夫婦で子どものいいところや苦手なところを話し合う時間を持つことも、保護者である自分自身への理解を深める上で大切です。

 

6.④-b)阻害する考え方

子育てにおいて、親がネガティブな言動や考え方をすると、子どもの成長に悪影響を与えることがあります。
また、親が子どもに自分の価値観を押し付けることで、子どもに不満や文句が生まれることがあります。
親は冷静に子どもを見守り、子ども自身の考え方や興味を尊重することが大切です。

 

7.セミナーのまとめ

子どもの人格形成が教育の目的であり、親は子どもの良いところを理解することが重要です。
また、保護者は客観的に子どもを見つめ、事実に基づいた対応をすることが必要です。
子どもたちが将来的に自分の力で生きていけるように、自分で解決策を考える力をつけさせてあげることが大切です。

 

8.セミナーに寄せられた質問と回答

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質問1:
私が働く放課後等デイサービスで中2の子どもが「学校ってどうしてレベルの低い子に寄せて指導してるんだろう?だから日本のレベルが下がっていくんだよ」と言っていました。特別な能力に秀でている子は支援学級の情緒クラスに入れられることになります。私学の小学校の中には特別な能力を発揮できるような教育をしてくれるところがあるのでしょうか。

回答:
私学のすべてが特別な能力を発揮できるような教育をしているとは限りませんが、特徴をもった教育をしやすい環境にあることは事実です。本校であれば学習指導要領をベースにそれを発展させた独自のカリキュラムを用意しています。特にプロジェクト学習は子どもの得意なことや好きなこと、興味関心に基づいた活動を子ども自身が選択してできるため、自分の特徴を伸ばせるような教育システムになっています。例に挙げた本校のスポーツフェスティバルなどは子どもの得意分野を生かして子どもたち自身の手で創り上げる本校独自の代表的な教育内容と言えます。
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質問2:
子どもを叱る時、具体的にどう叱れば良いですか?わかってるようなわかっていないような感じで、いつも伝わっていないようです。

回答:
まずは叱る前にしっかり対話することです。特になぜ叱られるようなことをしたのかという背景や理由を聞いてあげることです。それを頷きながら聞いた上で保護者としての経験から、なぜそのことをしてはいけないのかについて問題になる具体的な行為をもとに伝えてあげることが必要だと思います。怒鳴ったりせずとも背景や理由を聞いてもらった子どもは親に共感されたという気持ちを持ちつつも、自分が行った行為に対してアドバイスや助言をしてくれている感覚になり、素直に頷くことが多くなると思います。
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質問3:
私は、発達障害の子どもに関わる仕事の中で、子どもたちの言動、心の動きなどの中から今日の話に内容を学んできました。子どもから学ぶということが多かったのですが、読んだ方が良い本などはありますか?

回答:
私見になりますが、私は「人は人から学ぶことが多いのではないか」と思っています。ですので推理物やファンタジーも空想を広げて楽しいとは思いますが、人の営みや努力が読み取れる伝記をおススメします。例えばその子が飛行機が好きなら、飛行機を発明したライト兄弟の伝記を与えてみるなど、その子の好きな分野、興味のある分野で活躍した人の伝記を勧めてみたらどうでしょうか。
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質問4:
先生のお考えにとても賛同しております。同時に、子どもが自己肯定感を持って取り組んでいることが、例えば大きな収入に直結しさそうな分野だったり、社会的に認知が低いジャンルだった場合、保護者として、純粋に子どもの気持ちや情熱を応援し続けることが正しいのかどうか、迷います。教育者として、また、保護者でもいらっしゃる先生のお考えをお聞かせいただきたいです。

回答:
子どもの自己肯定感と現実の生活は確かに結びついても良いことと悪いこととがあるかもしれませんね。でも、小学生ということだけを限定して考えると、まずは純粋にその気持ちを応援してあげたほうが良いと考えます。もちろん、その方向が良いものに向かうだろうという予想をもとにです。社会的に認知が低い分野であっても、その子の情熱が道を切り開く可能性があるかもしれません。いつか現実という壁に当たるかもしれませんが、それは最後は本人が方向転換するかどうかを考えることだと思います。保護者のできることはまずは応援し支援すること、現実的に難しくなったときは支援を打ち切り本人に考えさせることも年齢によっては必要かもしれません。小学校の時は純粋に応援し、できれば一緒に関わってあげたら一番いいと思います。※例えば、お城が好きで沢山見たいと言ったら一緒に見て回ってあげるとか。(親も忙しいので理想ですけどね)
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質問5:
自律について、お聞きしたいです。私のこどもは年中5歳児です。あいさつや幼稚園の準備などは親の声掛けがあってから行動をしています。小学校に入ってから徐々に自分で気づいて、自律が身についていくものなのでしょうか。性格もありますでしょうか。

回答:
自律は子どもが自分自身で考え行動を起こす行為だと考えています。ですので、まずは保護者や周囲の大人が参考になる行動を見せてあげることが第一です。今行っている声掛けはとても良いことです。ただ質問にあるように自らするかは性格もあるから別物です。徐々に自然と自分から挨拶する子もいるでしょう。もし、なかなか自分からしないときは刺激を与えてみてください。刺激とは、朝の挨拶を例にとると「お母さんに朝、何かいうことない?」とかの問いかけでもいいです。その時に自分から挨拶したら「わあ、お母さん、あなたから挨拶してもらってとっても気持ちがいい一日が迎えられるわ」などの褒める言葉があると自分から行うようになるかもしれません。このような刺激の与え方は一例に過ぎませんが、子どもは自分の行為を褒められると積極的にやってみたくなるものです。そういう気持ちを刺激してあげることが自律を促すための保護者の役目ではないでしょうか。
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質問6:
特別な教育をしている小学校がどこにあるのかということは文科省に問い合わせればわかるのでしょうか?

回答:
本校が認定を受けているような国際バカロレア教育をしている学校は文部科学省にホームページに記載があります。また本学も取得したことのある研究開発学校のような特別な研究指定校についても情報がありますので、特徴のある教育を実践している学校を知りたければ、そんな点から検索してもいいかもしれません。
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質問7:
コミュニケーションのとれる子どもになるにはどう育てればいいのか、親とのコミュニケーションがあればそれだけでいいのでしょうか(最近コミュニケーションが取れない子どもが多い)

回答:
コミュニケーションをとる、とらないは本人の意志も関係してくるので育てることは難しい面もありますが、大人ができることはその子の興味関心に基づいたコミュニケーションがとりやすい機会を与えることと、無理やりコミュニケ―ションをとるような押しつけはしないということです。興味のある場所でワイワイと大人数で話す機会を与えてコミュニケーションが育てばそれはそれで良しですが、逆に賑やかなことが好きではない子どもに無理に賑やかな機会を与えてもストレスにしかなりません。むしろ静かに本を一人で読んでいるなら、その子の隣で一緒に本を読んでいて時々、顔を合わせて微笑むだけでいいかと思います。そこから本人が何か語りかけてきたりアクションを起こすことがあれば、それが一つのコミュニケ―ションが育つきっかけになるかなと思います。なかなか難しい課題でもあるので、あくまで個人の意見です。参考程度にお聞きください。
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セミナーの動画も公開しています。下記のリンクから全編をご覧いただけます。
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>> セミナーの動画(約53分) <<


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